研究概要 |
カザフ共和国のコクチェタフ超高圧-高圧変成帯では石英の高圧相であるコース石だけでなくダイヤモンドまでもが最高変成部に広域的に出現し,最高変成温度は1000℃以上にも達したことが知られている。それらの超高圧変成岩は著しい後退作用を被うているが,その原因として超高圧変成岩が上昇し地殻浅部に定置した際に周囲に熱変成作用を与えた結果,周囲の岩石から放出された流体相によるものであると考えられる。超高圧-高圧変成帯の上昇・定置によって周囲の地質体が被った接触変成作用の範囲,その結果放出された流体相の総量と組成の見積もり,さらに分離したジルコンのウラン-鉛年代値から超高圧変成作用の年代と地殻浅部に定置した際に周囲の地質体が被った接触変成作用の年代から,超高圧-高圧変成帯の上昇スピードを求めるのが本研究の目的である。 カザフ共和国コクチェタフ超高圧-高圧変成帯によって接触変成作用を被った下盤側の地質体から採取した岩石約1000個について岩石薄片の顕微鏡観察と鉱物分帯が完了していた。本年度は鉱物帯の境界反応を解析し、さらに高低2帯の鉱物帯の代表的な試料について含水率を強熱減量法によって求め、接触変成作用によって放出された流体の総量を見積もった。
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