研究概要 |
2001年3月および10月の2回にわたり,沖縄本島外洋にて,琉球大学海洋実験船上からプランクトンネットにより放散虫サンプルを採取,雑多なプランクトン群集の中から放散虫をピックアップしPCRクローニングを行った. PCRクローニングについて,本年度は新たにシングルセルによるPCRを試み,放散虫一個体からの塩基配列よみとりがルーチンワークとして確立できた.有殻単体性放散虫の塩基配列のよみとりは,未だ世界でも報告がなく,今後はこの手法により本研究が飛躍的に進むことになるであろう. 増幅しようと試みている部位は,18SrDNAで,現在まで,Polycystinea綱に属するDidymocyrtis tetrathalamus・Dictyocoryne profunda・Euchitonia spA.・Spongodiscus tetrasの4種について,18SrDNAの領域内約600〜1800bpを読みとることに成功している.その結果,これまでの殻や細胞内の構造による分類と分子による分類とは異なった系統樹が構築された.従来,放散虫は,Polycystinea綱・Acantharia綱・Phaeodaria綱の3綱に分類されてきたが,今年度の結果は,このうちのPolycystinea綱の分類の見直しが必要であることを示唆している. 本科研最終年度はさらに多くの種,あるいは属,ないし綱のレベルで多数の種の18SrDNAの塩基配列を読みとり,放散虫の分類体系の見直しを完成させる予定である.さらには,有殻単体性放散虫特有のプライマを設計することを当年度の目標とする.
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