研究概要 |
この研究では北海道の完新世の各火山について,それぞれ完新世の噴火の噴火様式・規模・噴火の推移・噴火年代を定量的に把握して,各火山の活動特性を明らかにすることを目的としている。 研究の初年度に引き続き有珠山の2000年噴火については単一の噴火事例研究として集中的に行い5ヶ月に渡る噴火活動の推移を検証した.また,この噴火では噴火の初日に高温で乾燥した火砕サージが,その後の火口群形成期間中に低温で湿った火砕サージが発生し,それらの到達距離は発生源から600mに達したことを明らかにした。これらの成果は学会誌に2編の論文として投稿した。有珠山の火山防災マップの修正版を行政機関が作成するに当たり,過去の噴火履歴について定量的な検討を行って今後の噴火被害域の予測に寄与した。 初年度に実施したアトサヌプリ火山の研究成果は今年度に入って火山防災マップにその成果が取り入れられる形で社会に還元できた。ニセコ火山については噴火履歴を定量的に把握するために放射年代測定を集中的に行った。 道内各火山の噴火履歴について既存の文献調査を行った。完新世に噴火が確実にあったが,現在気象庁が活火山と認定していないのは利尻及びニセコ,地形などの情報から完新世に噴火履歴がある可能性が大きいが年代測定情報が不足している火山として,知床半島の天頂山,屈斜路中島,雄阿寒岳,濁川,羊蹄山,然別が該当するという結論を得た。
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