研究概要 |
ゼオライトヒートポンプ(ZHP)の運転サイクルを理想化したゼオライト-H_2O系の熱化学サイクル,即ち,含水ゼオライトの加熱(ゼオライト水の加熱q_H,フレームワーク加熱q_z);脱水エンタルピー(ΔH_d);脱水ゼオライトの冷却(q_<zc>);水蒸気の冷却(q_v);水蒸気の可逆膨張(q_w);水和エンタルピー(ΔH_h)を考慮したサイクルにおいては,次式(1)が成り立たつ. q_H+q_z+ΔH_d+q_<zc>+q_v+q_w+ΔH_h=q_H+ΔH_d+q_v+q_w+ΔH_h=0 (1) 水蒸気圧は,脱水時100kPa,水和時3kPa;ゼオライトフレームワークの加熱冷却エネルギーはq_z=,可逆的と仮定し,サイクルでは加熱・冷却過程で相殺される.ZHPは,完全にサイクル運転が確認された.H_2Oを独立成分と考えて,不明なのは,ゼオライト水の加熱エネルギーq_Hだけである.ΔH_dは測定可能であるが正確な測定は,温度T_hで平衡蒸気圧を調整して行なわなれば得られない.測定例によると373Kのゼオライトの脱水エンタルピーは47-49kJ/mol程度であり,ΔH_d=48kJ/molとする.T_h=373K,ΔH_h=-65kJ/mol.水蒸気の熱容量を31JK^<-1>mol^<-1>の一定とする.水蒸気の可逆膨張エネルギーは,q_w=RTIn(P/P_0)=8.7kJ,(1)式より,q_H+48-31×10^<-3>×(373-298)+8.7-65=0∴q_H=6.0kJ/mol.通常の水の加熱エネルギーは,平均の熱容量を70JK-1mol-1として,70×10^<-3>(373-298)=5.25kJ.従って,ゼオライト水の熱容量は,水の熱容量より大きい平衡蒸気圧の温度変化より,ゼオライト水のエントロピーが極めて小さいことが確かめられた.菱沸石の単結晶の構造解析により,水の位置が推定できた.
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