研究概要 |
ヘキサデシル基を持つ両イオン性界面活性剤(C_<16>DAPS)からなるミセルにオクタデシル基を持つ陽イオン性界面活性剤(C_<18>TACl)を可溶化させた混合ミセル系について、ミセルのトレーサー拡散係数、界面活性剤の相互拡散係数、ミセルの会合数、水相中の界面活性剤モノマーイオンおよびCI^-イオン濃度の測定を行った。テトラデシル基を持つC_<14>DAPSミセルの場合(発表済)に比べて、C_<18>TA^+イオンはより多くミセルに可溶化され、水相中の濃度はより低かった。このような条件のもとでは、臨界ミセル形成濃度(CMC)以上での界面活性剤の相互拡散係数は、ミセルおよび対イオンのトレーサー拡散係数とミセル1個あたりの対イオンの数とから予測できることがわかった。さらに、C_<16>DAPSとC_<18>TAC1のモル比を一定に保って濃度を変化させた時、CMC以上の濃度では相互拡散係数はゆるやかにではあるが濃度の減少とともに増加し、測定可能な濃度範囲で減少することはなかった。この濃度依存性は、単一成分イオン性界面活性剤系の場合と大きく異なる結果である。 ドデシル-、テトラデシル-、ヘキサデシル-トリメチルアンモニウム塩化物(C_<12>TACl、C_<14>TACl、C_<16>TACl)のミセル内に可溶化または表面に吸着されたピレンおよびピレニルスルフォン酸イオンの蛍光減衰を、ミセル表面に吸着されたアントラキノンスルフォン酸イオンおよびアントラキノンジスルフォン酸イオンの存在下で測定した。蛍光消光反応速度定数はC_nTAClのアルキル鎖長の増大とともに減少した。鎖長の増大による表面積の増大とミセル表面での蛍光体と消光剤の拡散係数の減少との両方が原因であることがわかった。 C_nTACl(n=14,16,18)および陰イオン性脂質DMPGに保護された金ナノ粒子を調製し、電子顕微鏡観察により、形状とサイズを求めた。保護層表面での反応性とミセルやベシクル表面での反応性について比較検討中である。
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