カーボンナノクラスターであるC60フラーレンを導入した非常にユニークなナノ複合体C60-Au clustersは、C8-Au clustersとC60-モノチオール誘導体との反応により合成した。高分解能透過型電子顕微鏡(TEM)による観察を行ったところ、金クラスターの直径が2nmの非常に粒子径分布の狭い分散性に優れた金クラスターであることが分かった。ところで、電極等の基盤表面への金クラスターの固定化が、より高度な機能性界面の構築といった観点から注目を集めており、例えばアミノシロキサン、メルカプトシロキサン、ジチオールといった基盤・クラスター双方との結合性官能基を持つクロスリンカーを用いることにより達成されている。一方、驚くべきことに、C60-Au clustersは自己組織化法により金表面に安定に固定化できることが明らかとなった。また、注目すべきことは、C60-Au clusters膜において非常に明瞭なC60-ユニットからの還元/酸化応答が観測できたことである。これまで、C60誘導体を用いた自己集合単分子膜からこのように非常に明瞭な還元/酸化応答を観測した例はなく、例えば金電極上に形成されたC60-モノチオール誘導体の自己集合単分子膜からは、可逆性の悪い非常に不明瞭な還元/酸化応答が観測され、金電極上に形成されたC60-Au clusters膜との違いは明らかである。
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