研究概要 |
本研究では,白金II価錯体がそのaxial万向で他の金属イオンに配位した錯体,特に,架橋配位子等の他のサポート相互作用を持たない錯体の合成を目的としている。これまでドナーとして炭素配位配位子など配位子場の強い配位子を有する白金(II)錯体を,アクセプターとしてAg^+,Cd^<2+>等の金属イオンを用いて,強面な供与型白金-金属結合を有する錯体を合成してきた。アクセプターとして多核のクラスター錯体を用いれば,より核数の大きなクラスター錯体の合成が可能となる。そこで昨年度はアクセプターとしてaxial位のルイス酸性の強い[Rh_2(CF_3COO)_4]を用いて合成を行ったところ両側から炭素配位白金錯体が配位したPt(bpy)Me_2]_2[Rh_2(CF_3COO)_4]が得られX線構造解析を行った。本年度は同様に[Rh_2(CF_3COO)_4]を用いて白金錯体に新たな炭素配位錯体,[Pt(phpy)_2],[Pt(thpy)_2(Hphpy=2-phenylpyridine,Hthpy=2-thienylpyridne),を用い錯体の合成を行った。前者からは[Pt(bpy)Me_2]の同様,混合金属四核錯体,[Pt(phpy)_2]_2,[Rh_2(CF_3COO)_4]が得られた。Pt-Rh距離は2.8179(7)A^^。であり比較的強い結合が形成されたことを示している。また,Rh-Rh距離は2.442(1)A^^。と若干長く,これはPt配位によるtrans影響と考えられ,PtがRhに強く配位していることを示している。また,後者からは[Pt(thpy)_2]と[Rh_2(CF_3COO)_4]とが交互に並んだ一次元鎖錯体が得られた。[Rh_2(CF_3C00)_4]には両側からPtに配位されたものとS二配位されたものの2種類ありそれが交互に並んだ配置となっていた。前者のユニットは[Pt(bpy)Me_2]や[Pt(phpy)_2]を用いたときに得られた四核錯体と同様な構造となっていた。そのPt-Rh距離は2.7512(5)A^^。,Rh-Rh距離は2.436(1)A^^。でありほかの四核錯体とほば同様な距離であった。
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