研究概要 |
1.TACH配位子の化学修飾(N-メチル化、N-エチル化、N-ヒドロキシエチル化)に成功した。N-メチル化及びN-エチル化物のCu(II)錯体は、pBR322 DNAの切断に対して比較的高い活性を示したが、pHおよび錯体濃度効果がCu(II)TACHのものと異なるため、現在、詳細に検討中。 2.酵素法(サンガー法の活用)によるDNA切断位置決定法を新規に開発した。この方法を用いてCu(II)TACH錯体によるpUC-19DNAの切断位置(塩基配列)を決定し、Cu(II)TACHは塩基に関してほぼランダムにDNAを切断する事が判明した。 3.Cu(II)TACHによる4種DNA (pUC-19、pBR322,ΦX174、colE1)の切断を比較した結果、DNA間で切断パターンが異なり、明瞭なDNA鎖長依存性があることを見出した。このことは錯体の加水分解切断活性がDNAによって大きく変化することを意味し、錯体の活性を比較する上で非常に重要である。その原因を探るため、イオン強度効果、温度効果、freeCu(II)の効果について検討した。 4.2-アミノメチルピリジンシの化学修飾(アミノ基へのβ-シクロデキストリンの導入)に成功した。その配位子のZn(II)錯体のジペプチド加水分解能を検討した結果、70℃、pH8.1でPheSerの場合に大きな加速効果があることを見出した。 5.ジペプチドの閉環・開環および加水分解速度の測定を行い、ペプチド加水分解の基礎データを蓄積した。
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