研究概要 |
1.Cu(II)-TACH錯体による環状DNA(pHSG398,pUC19,pBR322,φX174,colE1)の切断速度に及ぼすDNA鎖長依存性(同一bp濃度では、長鎖の方が速い)を検討し、理論式を誘導した。それに基づき、pUC19DNAは歪んだ構造をとり、特異なpH依存性を示すことが示唆された。 2.Cu(II)TACH錯体への置換基導入効果(CH_3,C_2H_5,C_3H_7)を検討し、置換基数、置換基の笠高さが増えると、錯体は単核種として存在する確率が増え、DNA切断能が向上すること、及び、錯体の歪が大きくなり、より酸性pH域でDNAを切断することが分った。 3.β-シクロデキストリン(CD)を導入した2-アミノメチルピリジンの亜鉛(II)錯体によるジペプチド(GlyGly,GlyLeu,LeuGly,PheSer,GlyPhe,PheGly)の加水分解速度を測定し、PheSerとPheGlyの加速効果が他よりも高いことを見い出し、^1HNMRからCDへの包摂を確認した。 4.水溶液中でのジペプチド(GlyGly,SerGly,GlySer,LeuGly,GlyLeu,SerMet,AlaSer,LeuSer,ValSer,GlyThr,AlaThr)の環化開環速度・平衡定数、異種ジペプチドへの変換速度・平衡定数、加水分解速度定数(一部についてはそのpH依存性も)を求め、環化・変換・加水分解の関係を纏めた。その結果、平衡状態では、環状体が10%程度存在することが見い出された。
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