研究概要 |
(1)ペンタメチルシクロペンタジエニル基を持つロジウムおよびイリジウム錯体あるいはアレンルテニウム錯体と分子内にアゾ基をもつ4-イソシアノアゾベンゼン(a)あるいは4,4'-ジイソシアノアゾベンゼン(b)との反応を試みた。aとの反応は[Cp^*MCl_2(CNC_6H_4N=NC_6H_5)](M=Rh,Ir)あるいは[(arene)RuCl_2(CNC_6H_4N=NC_6H_5)]を、またbとの反応は2核錯体、[(Cp^*MCl_2)_2(CNC_6H_4N=NC_6H_4NC)]あるいは[{(arene)RuCl_2}_2(CNC_6H_4N=NC_6H_4NC)]を与えた。これらの錯体はX-結晶解析からトランス構造を有することがわかった。単核および2核錯体の光化学反応を試みたところ、ルテニウム錯体では配位子の解離が起こり、分解した。ロジウムやイリジウム錯体ではトランスからシスヘの異性化反応が観察された。しかしシス/トランスの割合は小さい。2核錯体をAg(0Tf)で処理すると、Cl-架橋した4核錯体[(Cp^*MCl_2)_4(CNC_6H_4N=NC_6H_4C)_2]が得られた。 (2)1,8-ビス[(ジフェニルホスフィノメチル)]ナフタレン(1,8-dpmn)とイソシアニド配位子を含むパラジウムあるいは白金2核錯体、[M_2(RNC)_6](PF_6)_2との反応において、白金錯体では1,8-dpmnが1ないし2個置換された錯体が生成するが、パラジウム錯体では1分子の1,8-dpmnが置換された錯体が得られるが、2分子の1,8-dpmnが置換された錯体は得られず、パラジウムーパラジウム結合が開裂し、単核錯体が生成した。白金の金属-金属結合の強さを示している。同じような現象は他の2核錯体においても観察されている。
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