研究課題/領域番号 |
12640553
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
幸本 重男 千葉大学, 自然科学研究科, 教授 (90195686)
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研究分担者 |
岸川 圭希 千葉大学, 工学部, 助教授 (40241939)
山本 忠 千葉大学, 工学部, 教授 (50039294)
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キーワード | コール酸 / コーラファン / トリポダント / シクロトリベンジレン / ヌクレオシド / 分子認識 / ホスト-ゲスト化学 |
研究概要 |
本研究の目的は、安価で容易に入手可能なステロイド分子であるコール酸を基本構成単位として用いて大環状カプセル分子や、開いた系であるトリポダント型誘導体を合成し、コール酸の特性をいかした機能性の高性能ホスト分子を創製することにある。ターゲットとなるゲスト分子としてヌクレオシド、糖類等を選び研究をおこなった。 前年度の研究で、カプセル状分子である2環性のビシクロコーラファンがヌクレオシド類、AZT、および特定の糖類に対して良い抽出能を示すことを液-液抽出によって見出している。更に単純な系でも高い認識能を発現すべく、この系の環を開いた系に相当するトリポダント型分子の認識能を検討しビシクロコーラファン系との比較を行った。クレーンの爪のようにがっちりと固定された構造をとるように剛直な環構造を有するシクロトリベンジレンを用い、これに3個のコール酸分子がぶら下がったトリポダント分子を合成して検討した。しかしながら、このトリポダント分子は液(クロロホルム)-液(水)、固-液(クロロホルム)においてもヌクレオシド類に対して抽出能を示さなかった。そこでより単純なトリメジン酸を用いたトリポダント分子により同様の実験を行ったところ、固-液抽出において特定のヌクレオシド(dA)に対して高い認識能(K=5.3×10^5 M^<-1>)を持つことを見出した。比較の結果、閉環しているビシクロコーラファン系の方がホスト化合物として優れていることが判明したが、これはトリポダント系ではコンフォメーションの自由度がまだ大きすぎるため、ゲスト分子の取込みによるコンフォメーションの安定化が困難なためと思われる。 またコール酸がクラスレートホストとして優れている点を鑑みて、コール酸分子の液晶相での配列制御への応用を試みたが、現在のところまだ液晶化には至っていない。
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