研究概要 |
生体膜,細膜膜の骨格構造は,主成分の脂質分子から成る2分子膜構造である。 本研究は,この脂質分子と水分子との相互作用が2分子膜状充填様式を決定する重要因子であることに着目し、フォスファチジルコリン(PC)およびフォスファチジルエタノールアミン(PE)のリン脂質を用い,これら各々の脂質2分子膜層間に取り込まれた層間水分子数を示差走査熱量測定(DSC)から得られた氷融解エンタルピーから見積り,さらにH_2O分子をD_2O分子に置き換えた^2H-NMR縦緩和時間(T_1)測定から層間水分子の運動状態を評価した。層間水分子は,不凍結と凍結の2種で存在し,共に有限量であること,2分子膜ゲル状態と安定性のより高いサブゲル状態を比較すると,これらの水分子の結合様式は異なり,特に後者において緩和時間の長い成分が大部分を占めることが明らかにされた。
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