研究概要 |
塩化スズ(II)とN-クロロコハク酸イミド(NCS)を用いて、塩化メチレン中でα,α-ジイソプロピルホモアリルアルコールからレトロ(カルボニル-アリル)化によりアリルトリクロロスズ化合物を発生させ、カルボニル-アリル化、およびイミン-アリル化反応に応用した。 1.カルボニルーアリル化反応 この新規アリルトリクロロスズ発生法を用いて、まず、2-プロペニルトリクロロスズを発生させ、塩化メチレン中、-40℃で種々のアルデヒドを高収率でアリル化することを見出した。また、同様に2-ブテニルスズを発生させ、脂肪族アルデヒドおよび非配位性の電子求引性置換基を持ったベンズアルデヒドへの付加において、通常難しいα-位置選択性の発現を可能にした。 2.イミン-アリル化反応 まず、申請者らが開発した、塩化スズ(II)/NCSによるアルデヒドとトシルアミドからのN-トシルイミニウムの生成法を利用し、種々のN-トシルイミニウムへの2-プロペニルスズの付加による新規ホモアリルアミン合成法を確立した。カルボニル-アリル化反応とは対照的に、このイミン-アリル化反応では六員環遷移状態を取ることができないことから、その反応は極めて遅く、立体障害の大きい置換アリルスズには使用できない。そこで、スズへの配位が可能なN-トシルイミンを用いた。γ-置換アリルスズ化合物である2-ブテニルトリクロロスズによりγ-位置選択的にイミン-アリル化反応が起こり、種々の2-メチルホモアリルアミンを合成することができた。
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