研究概要 |
パラジウム(II)がPdCl_4^<2->として存在するような塩酸酸性溶液中で、パラジウム(II)の超臨界二酸化炭素(SF CO_2)への抽出効率は塩酸濃度の増大とともに増大する。1M塩酸ではパラジウム(II)(6.0x10^<-5>M)はほぼ100%抽出されることが見出された。抽出種はH_2PdCl_4と推定される。ところが、塩酸濃度が0.1M以上では、SF CO_2は極めて腐食性で、超臨界抽出装置特にステンレスチューブやリストリクターが腐食溶解するため、本装置を用いた詳細な検討は困難であり、更なる検討を行わなかった。今後の課題としては、耐腐食性の超臨界抽出装置の改善工夫が今後の課題である。 次に、超臨界抽出装置が腐食され難い塩酸濃度(0.1M>HCl)からのパラジウム(II)の2-メチル-8-キノリノール(HMQ)による抽出錯体の組成および抽出平衡定数を決定した。更には、抽出定数の決定において重要な定数であるHMQのSF CO_2と水間の分配定数,K_<D,SFCO2>を45℃、15.3-8.5MPaの条件下で求めた。15.3MPaでのK_<D,SFCO2>は10^<1.2>で圧力の増大とともに増大する傾向がある。8.5MPaでは、K_<D,SFCO2>は小さく求めることが困難であり、10^<1.2>と推定される。SF CO_2に抽出される錯体の組成は、通常液・液抽出において組成解析に用いられるスロープ解析によりPd(MQ)_2であることが確認された。抽出定数、K_<ex>(=[Pd(MQ)_2]_<SFCO2>[H^+]^2[Cl^-]^4[PdC1_4^<2->]^<-1>[HMQ]^<-2>)として10^<4.3>(45℃、8.5MPa)が得られた。金属イオンのキレート配位子によるSF CO_2への抽出において抽出定数が決定されたのは本研究が最初である。
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