研究概要 |
オンサイト(現場)で直ちに分析結果がわかる迅速な計測法として、色を数値で表示できる、小型軽量、可搬型の色彩色差計を用いる方法について基礎的な検討を行った。濃度と色彩色差計の数値の間の定量的な関係については、十分に解明されておらず不明な点も多いので、分光測色計を用いて反射率などを調べた。その結果、以下のことが明らかになった。 1.目的成分を着色したイオンとし、これをイオン会合体として捕集する際の参考になる、基礎研究として、一価の陽イオンと陰イオンが1:1のイオン対を形成し、各種の溶媒に抽出されるときの平衡がある。この現象が、solvophobic thoryで説明できることを示した。 2.水中の銅を還元した後、バソクプロインと反応させると橙色の錯イオンとなる。これを、水中の塩化物イオンとのイオン会合体として、ろ過によってメンブランフィルター(MF)上に捕集できる。このMFの色差を色彩色差計で測定すれば、濃度と色差の関係から検量線を作成できる。この定量法によってμg/Lレベルの銅を簡便に測定することが可能である。この方法は、有害な有機溶媒を使用しないので、環境に優しい分析法である。 3.これまでの研究から、濃度と色差の数値の間に、ある数式で表される関係が成立することが明らかになっている。さらに、分光測色計によって分光反射率を測定すると、濃度変化に対応した分光グラフを描くことができた。 4.N-Ethoxycarbonyl-2-ethoxy-1,2-dihydroquinoline(EEDQ)を用いて、液相合成用樹脂(ポリスチレンにスペーサーを介してトリスアミノ基をもつ)に、8-キノリノールを固定した前濃縮用吸着剤を合成を試みたところ、十分に8-キノリノールを結合できることがわかった。
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