研究課題/領域番号 |
12640583
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
會澤 宣一 富山大学, 工学部, 助教授 (60231099)
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研究分担者 |
蓮覚寺 聖一 富山大学, 工学部, 助教授 (70019199)
中村 基 静岡大学, 工学部, 教授 (80022242)
山田 眞吉 静岡大学, 工学部, 教授 (60022737)
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キーワード | 三角両錐型パラジウム(II)錯体 / L-システイン残基 / 含硫ペプチド / 分子認識 / グルタチオン |
研究概要 |
ホスフィン型三脚状四座配位子であるトリス(2-ジフェニルホスフィノエチル)ホスフィン(pp_3)とアセトニトリルを配位子とした五配位三角両錐型パラジウム(II)錯体[Pd(pp_3)CH_3CN]^<2+>を用いると、アミノ酸官能基の中ではカルボキシル基やアミノ基よりもチオレート型硫黄原子を選択的に配位することが明らかになった。これは、平面型パラジウム(II)錯体には見られない電子的な特徴の現れであるが、さらにこの錯体は立体的要因も重なり、L-メチオニン、L-ペニシルアミン、L-システインといった含硫アミノ酸の中から、L-システインのみを選択的に配位することもわかった。形成した錯体は水に不溶で有機溶媒に易溶であるので、有機相にクロロホルムを用いてL-システインのみを容易に抽出できた。また、L-システインがチオラト硫黄原子で配位したシステナト錯体も単離することができた。現在、この錯体については構造解析を行っている。 生体内の酸化還元反応において重要な役割を果たしているトリペプチドであるグルタチオンは、[Pd(pp_3)CH_3CN]^<2+>と水(弱アルカリ性)-アセトニトリル混合溶液中で定量的にアセトニトリルと置換する。^<31>PNMRスペクトルから、グルタチオンの場合もL-システインの同様にチオラト硫黄で単座配位していることがわかった。さらに、錯形成に伴う吸収スペクトル変化を利用すると、容易に還元型グルタチオンだけを選択的に定量できることが明らかになった。現在、その定量条件を詳細に検討している。 以上のように、五配位三角両錐型パラジウム(II)錯体を用いると、予想どおり含硫アミノ酸を識別できることが明らかになったため、来年度は当初の計画通り、アミノ酸の分離分析や合硫ペプチドの定量条件を確立し、その実用性を検討する。
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