研究概要 |
1.5mm X 20mmのマイクロ流路を有する13mm X 38mm X 3mmの溶融石英ガラスからなる超音波放射圧-静電場操作型デバイスに,圧電セラミック振動子(C-213,t=4.18mm厚み振動モード488kHz,W=2.0mm,l=10.0mm)を取り付け,振動子から生じた定常波により,流路内のポリスチレン微粒子(直径10μmまたは20μm)が濃縮されることを,CCDカメラを取り付けた倒立顕微鏡で観察したが,一定した性能を得ることは難しかった。前年度に引き続き,流路内壁の化学処理方法,比重を考慮した塩溶液の使用,デバイスの水平保持,流路内の対流の抑制,圧電セラミック振動子の取り付け方法について条件を変えていろいろ検討した。しかし,完全に再現性のある結果を得るに至っていない。 これとは別に,この問題が解決された後の研究を見据えて,マイクロ流路内での電気泳動・クロマトグラフィー分離を検討するために,溶融石英キャピラリーを用いて,その内壁に二酸化チタンを生成させ,さらにクロマトグラフィー的相互作用を行うために化学修飾した。これによりタンパク質やペプチドを試料としたとき,未処理壁面に比べて分離能,分析時間が格段に向上することを確認した。この研究は超音波放射圧による濃縮の再現性が向上したとき基礎となる研究であり,雑誌論文として発表した。
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