平成12年度の研究計画では、SPMEによる水マトリックスからの抽出条件の最適化を第一の目標としていた。試料として多環芳香族化合物や農薬を対象として、抽出用ファイバーコーティング材質、時間、温度などを最適化した。そして抽出に用いたSPMEファイバーから対象化合物を超臨界流体を用いて脱着するシステムの構築と脱着条件の最適化を行った。超臨界CO_2によりSPMEとLCとを直接結合するインターフェースを作製し、環境水中の農薬の分析に適用した結果、有機溶媒をほとんど使用しない分析法を開発することができた。 またSPME法自体についても画期的な方法を考案することができた。これまでのSPMEファイバーは溶融シリカ(100μm径)の外周に高分子の抽出媒体をコーティングして使用していたが、これを10μm程度の液晶高分子ファイバーを細管に充填したもの(内径200〜250μm、300本以上のファイバーを充填した長さ5〜50mm)を媒体とすることにより抽出効率の向上と分析時間の短縮が期待できる。この方法をファイバーインチューブSPME法と命名した。これを評価した結果、これまでの分析時間を約1/10に短縮できることが明らかになりこの方法とSFEの組み合わせの検討が本研究のさらなるステップと考えられる。一方、超臨界水を用いるSFEについては、PAHsや農薬に対する基礎データを収集中であり今年度中にはSPME/水を用いるSFEの検討が可能な段階に入っている。
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