研究課題/領域番号 |
12640590
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
藤原 祺多夫 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (90090521)
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研究分担者 |
熊田 英峰 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (60318194)
櫻井 照明 東京薬科大学, 生命科学部, 助手 (30266902)
貝瀬 利一 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (20266894)
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キーワード | 活性酸素 / 光化学反応 / スーパーオキシド陰イオン / 天然水 / NADH / フローインジェクション法 / 太陽光 / ニトロブルーテトラゾリウム |
研究概要 |
天然水に太陽光が照射されると、溶存有機物(フミン酸など)が励起され、水和電子が発生し、これが溶存酸素と反応してスーパーオキシド陰イオンに変化する。スーパーオキシド陰イオンは数秒の寿命で過酸化水素に変換されていくとされる。本年度はとくにスーパーオキシド陰イオンの測定に焦点を絞り、測定法の検討を重ねた。試料は広島市を流れる太田川、東広島市を流れる黒瀬川および瀬戸内海西部について豊潮丸航海で採取し、ガラスフィルター(Advantec GC-50,保留粒子径0.50μm)でロ過したものを、凍結保存しながら逐次使用した。測定には生化学で用いられる手法についてまず検討した。まずLDH(乳酸脱水素酵素)-NADH法といわれるもので、この反応はLDHとNADHの複合体にスーパーオキシド陰イオン(以下O_2^-と略)加えると、O_2^-によりNADHが酸化するのを、NADHの340nmの吸収の減少によって測定するものである。この方法で測定を行ったところ、キセノンランプによる1時間の光照射によって高純水(Milli-Q水)で大きな吸収の減少がみられたのに対し、太田川、瀬戸内海では減少は小さかった。次にニトロブルーテトラゾリウム(NTB)還元法を試みた。NTBのアルカリ性下でのO_2^-の還元によるブルーホルマザンの量を、560nmでの吸光度の増加で測定する。然しこの方法もEDTA・2Naの有無にかかわらず光照射の影響は、見られなかった。さらにテトラニトロメタンのO_2^-による還元による366nmの吸収を調べたが、高純水よりも海水・河川水の方がわずかに吸収が多かった。結局こうした生化学的方法よりもルミノールを用いる化学発光法が優れていることがわかった。システムとしては、化学発光管にフローインジェクションシステムを直結したものを用い、光照射後直ちに化学発光測定することによって、天然水中でO_2^-が発生していることをスーパーオキシドジスムターゼを用いて実証した。
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