研究概要 |
1)重金属イオン:有機相中に抽出剤として5,6-ジフェニル-3-(2-ピリジル)-1,2,4-トリアジンを加えた場合,Pb^<II>,Cd^<II>,Zn^<II>イオンが抽出剤との錯体生成に基づく明確なイオン移動波を与える,すなわち電気溶媒抽出が可能なことを示した。この結果をJ. Electroanal. Chem.誌に報告した。この抽出剤を含む有機フィルム電極を作成し、本ストリッピング法によりこれら重金属イオンのppbレベル濃度の定量が可能なこと、それらの同時分析が可能なことを示した。この結果をCollect. Czech. Chem. Commun.誌に報告した。 2)界面活性剤:ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤が金属イオンと錯陽イオンを形成して電気溶媒抽出されることに基づくストリッピングボルタンメトリーにより,この種の界面活性剤についてもppbレベル濃度の分析が可能なこと等を示した。この結果をJ. Electroanal. Chem.誌に報告した。さらに、電気溶媒抽出ではこの錯陽イオンとアルキル硫酸イオン等陰イオン性界面活性剤とが電位によりそれぞれ選択的に抽出される。これに基づき、本ストリッピング法による非イオン性および陰イオン性界面活性剤の分離同時分析も可能なことを示し、その結果を国際会議ICAS2001において報告した。 3)薬剤:分析対象を各種薬剤にも拡張する目的で、まず、有機塩基の電気溶媒抽出のボルタンメトリーの厳密な理論の展開と,アミン型薬剤を対象としてその実験的検証を行った。電気溶媒抽出法では、これら薬剤のイオン形の有機溶媒/水間分配係数の精密な測定も可能であり、この物理量と薬剤の定量的構造活性相関についても論じた。この結果をAnal. Sci.誌に報告した。 さらに、電気溶媒抽出用の新しい有機溶媒として、1,6-dichlorohexaneが有望であり、この有機溶媒水界面の分極性領域は従来の溶媒を用いる場合よりも広がることなどを示した。この結果をAnal. Sci.誌に報告した。
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