研究概要 |
平成13年度は次の研究を行った。1.(1)栃木県西那須野町に所在する(独)畜産草地研究所の,異なる放牧圧で和牛が放牧されている3つの半自然草地において,過去6年間継続してきた植生調査を行った。(2)えられたデータをベータに項分布にもとづく方法で解析,論文化してGrassland Science誌に投稿した。この論文においては,植物群集の空間分布が放牧によって不均一化することを明らかにした。その大きな原因は,放牧を強めた草地では,シバのような葡匐茎をもつ植物種が多くなることにある。(3)本草地における植物群集の空間分布の要因解析にもとづいて,空間分布を再現できる格子モデルを試作した。日本生態学会発表会(2002年3月)において公表。(4)本研究経費で購入したC・Nコーダ部品を用いてこの草地でえられた植物体,土壌,糞が含有する全窒素の分析を行った。 2.盛岡市に所在する(独)東北農業研究センターの放牧草地における植生調査を継続した。4年間蓄積した植生とバイオマス,土壌窒素のデータをまとめて文章化した。その結果,放牧草地の糞は(1)草種の変化をもたらし,(2)種の多様性を増加させ,(3)牧草の空間分布の不均一性を高めることが明らかになった。 3.中国青海省に所在する標高3200mの高地草原において,植生とバイオマスの調査を行った。高標高の草原であるにもかかわらず,種数が非常に豊富で,バイオマス,植物群集ともに高い均一性をもつている特徴があった。日本生態学会発表会(2002年3月)において公表。
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