研究概要 |
平成12年6月19-24日に,和歌山県沖の熊野灘において,マッコウクジラに対し,データロガーの装着を試みた.20日早朝に中型のマッコウクジラへのロガーの装着に成功した.後,装着クジラとロガーを見失ったが,航空機による探索の結果,渥美半島沖で脱落したロガーを回収した.ロガーには約62時間の潜水プロファイルが記録されていた.マッコウクジラの連続潜水データはこれまで得られていなかったので,非常に貴重なデータとなった.これによると,このマッコウクジラは,夕方の一時期に数時間の浮上時間がある以外は,30-40分におよぶ水深約400-1200mへの潜水と約10分の浮上を非常に周期的に繰り返していた.最大潜水深度は1192mであった.ほとんどの潜水プロファイルは底部を持ち,そこで速い遊泳速度が記録されていることから,これらの潜水はほとんどが底部での活動,おそらく採餌に関係するものと考えられる. 平成12年8月21-25日に,鹿児島県長島沖において,定住性のバンドウイルカに対して,データロガーの装着を試みた.これまでバンドウイルカに対しては,吸盤型タグは不適で,装着できないとの報告があったが,今回3頭へ装着することに成功し,各3.5,8,11.5時間の潜水データを得た.日中の間,装着イルカを含む群れを追跡しその行動を記録した.何れの個体も,行動パターンにより頻繁に潜水パターンを変化させていた.また,日中よりも夜間に深く潜水する傾向が見られた.最大潜水深度は76mであった. 平成12年9月8-17日に北海道室蘭沖において,コビレゴンドウに対するデータロガー装着調査を試みたが,悪天候のため十分な調査ができなかった.
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