研究課題/領域番号 |
12640612
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
山内 克典 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30021322)
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研究分担者 |
古屋 康則 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (30273113)
松本 省吾 岐阜大学, 教育学部, 助教授 (90241489)
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キーワード | アリ / 性決定 / 成熟分裂 / 2倍体オス / 3倍体メス / 3倍体メス / 社会構造 |
研究概要 |
これまでに世界で18種のアリで2倍体オスの存在が確認されている。それらの種のいくつかには、3倍体や4倍体個体もいることが報告されている。一般に2倍体オスには生殖能力がないと言われてきたが、3倍体個体は2倍体オスの子どもである可能性がある。理論的に、2倍体オスは近親交配を行う種や既存コロニーが新女王を受け入れる種、つまり2次的多女王性種や社会寄生種において高い確率で生産されると考えられる。しかし、このことを実証しようとした研究はない。また、3倍体メスと通常の2倍体メスを比較した研究もない。以上のことから、多女王性種と社会寄生種を中心に、広範なアリ種において2倍体オスの検索を行うと共に、カワラケアリを中心に2倍体オスの存在意義について実証的に明らかにしようとしている。 前年度までの研究で、カワラケアリの2倍体雄では、成熟分裂過程で染色体数の減数が認められないこと、2倍体雄は単数体雄に比べて明らかに大きい精細胞核を持つこと、フローサイトメトリーにより、2倍体雄の精母細胞、精細胞は単数体雄のそれらの2倍のDNA量をもつことが明らかになった。これらのことから2倍体雄の精子が2倍体であるという結論が得られた。また、エステラーゼ・アロザイムの検討により、3倍体のワーカーの存在が明らかになり、2倍体雄には生殖能力があることが示唆されていた。 今年度は、交配実験により、2倍体雄には生殖能力があり、3倍体メスを生み出した。また、野外で採集されたオスに3倍体のものがあった。3倍体ワーカーは体サイズが2倍体ワーカーより有意に大きいこと、これらの行動には差が見られないことが示唆された。3倍体オスの成熟分裂の観察では、3倍体精子の形成を示唆するデータが得られた。3倍体オスにも生殖能力がある可能性がある。
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