研究課題/領域番号 |
12640620
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
蒔田 明史 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教授 (60315596)
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研究分担者 |
陶山 佳久 東北大学, 農学部, 助手 (60282315)
鈴木 準一郎 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (00291237)
西脇 亜也 宮崎大学, 農学部, 助教授 (60228244)
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キーワード | クローナル植物 / クローン動態 / 遺伝的多様性 / 長寿命一回繁殖性植物 / ササ / 地下茎 / DNA解析 / AFLPフィンガープリント法 |
研究概要 |
クローナル植物の個体群動態を明らかにするためには、genetレベルの動態解析が不可欠である。本研究は、分子生態学的手法を導入することにより、長寿命一回繁殖性植物で一斉開花性をもつササの群落形成期におけるクローン動態を明らかにしようとするものである。本年度は以下の調査を行い、その結果を元に研究を総括した。 1.1995年に十和田湖南岸域で一斉開花したチシマザサの開花個体から採集保存してあった葉をサンプルとしてDNA解析を行い、一斉開花現象は、多数個体による同時開花であることを確認した。 2.発生後21年を経たチシマザサ実生由来個体群に対して、掘り取り調査とDNA解析を併用してクローン構造の解析を行った。その結果、群落高や稈密度は開花前の集団に近づいているものの、genet間の成長の差は著しく、個体間競争により自己間引きが継続中であることが明らかになった。 本研究により、(1)AFLPフィンガープリント法はクローナル植物の動態解析にとって大変強力なツールであることが確認され、(2)多数個体による一斉開花により明らかに遺伝的な多様性が高まること、(3)実生発生後20年あまりで、群落サイズはほぼ回復したものの、個体を単位としてみれば激しい個体間競争が継続しており、ササ群落が平衡状態に達するにはまだかなりの時間を要することが明らかになった。また、本研究を通して、フィールド(永久方形区)での継続調査とDNA解析を併用することにより、クローン動態の直接観察を行うための手法を開拓した。今後、この手法を導入することにより、これまで全く知られてこなかったササ群落の全生活史を通じたクローン動態の解明が行える見通しがついた。
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