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2001 年度 実績報告書

宿主特異的托卵鳥による宿主操作の進化

研究課題

研究課題/領域番号 12640622
研究機関立教大学

研究代表者

上田 恵介  立教大学, 理学部, 教授 (00213348)

キーワードカッコウ / ジュウイチ / ルリビタキ / 托卵 / 宿主 / 寄生者 / 進化
研究概要

2001年度は富士山六の須走口において、ルリビタキに托卵するジュウイチの野外調査と、長野県南牧村野辺山高原において、モズに托卵するカッコウの野外調査をおこなった。富士山では2羽のジュウイチを捕獲し、電波発信機を装着して、なわばりと行動圏を明らかにした。また血液サンプルのDNA解析から、この2羽はともにオスであることがわかった。この調査地において宿主であるルリビタキの巣を69個発見した。そのうちジュウイチの托卵を受けていたものは5巣であった。また他にビンズイに托卵した1例を発見した。この調査地では、CCDカメラを用いて、ルリビタキの巣内の撮影をおこない、ジュウイチのヒナの行動における適応戦略についての有益なデータを収集することが出来た。ジュウイチのヒナは、暗い巣の中で翼角ににあるあざやかな黄色のパッチを宿主に示して、宿主からより多くの給餌を引き出していた。このパッチの意味は、ジュウイチそのものの嘴に擬態している事であり、両翼をあわせると、ジュウイチは1羽で3羽分の宿主のヒナを演じていることになる。刺激を音声や色彩の面積によって連続量的に増やすのではなく、嘴の擬態という不連続量によって、刺激を増やしているという擬態は、過去の托卵鳥研究においては例が無く、今回の発見がはじめてのものである。この成果は、現在、2本の英文論文にまとめているところである。
カッコウについては、ヒナにおける羽色の二型の適応的意義についての研究と、ヒナによる宿主操作の行動学的研究をおこなった。その結果、ヒナの羽色の二型は雌雄どちらにも同じ頻度で出現すること、また褐色から黒色まで、連続したパターンで出現することが明らかになった。その一方で、ヨーロッパの個体群に出現する赤色タイプのヒナはみつからず、個体群の特性としてもヨーロッパのものとは多少異なっていることが明らかになった。またヒナの擬態については、Davies et al.(1998)が提出した「カッコウのヒナは宿主のヒナの1巣分をそのまま擬態している」という仮説の検証をおこなった。その結果、カッコウのヒナはモズのヒナ1.4羽分に相当する給餌を受けており、Daviesの仮説はそのままの形では、モズには適応できないことがわかった。これらの成果も、現在、2本の英文論文にまとめているところである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 田村 實, 上田 恵介: "コルリの繁殖生態"Strix. 19. 11-20 (2001)

  • [文献書誌] 津吹 卓, 上田 恵介: "ビークマーク:蝶の翅につけられた嘴の跡"Strix. 19. 129-140 (2001)

  • [文献書誌] Tamura, M., Ueda, K.: "Female song in the Siberian Blue Robin Luscinia cyane"J. Yamashina Inst. Ornithol.. 32. 86-90 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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