研究概要 |
ペクチンは複数の構成糖から成る植物細胞壁多糖の一つであり、その主要な構造は、ガラクツロン酸(GalA)がα-1,4-結合で連なったポリガラクツロン酸(polyGalA)である。 polyGalAはラムノース残基を介して結び付けられており、ラムノースの一部には中性糖鎖が分岐結合している。また、GalAの一部はメチル基やアセチル基で修飾されている。本研究は、ペクチンの合成機構に着目し、polyGalAにGalAを転移させて糖鎖の伸長反応を触媒するガラクツロン酸転移酵素(GTase)の諸性質を明らかにすることを目的とする。 1.酵素の可溶化:アズキ(Vigna angularis)を室温、暗所、7日間生育し、胚軸から粗膜画分を調製して酵素源とした。GTaseの活性測定方法は昨年度の研究で確立し、また、酵素の諸性質も明らかにした。本年度は本年度は酵素の可溶化を検討した。膜画分を終濃度が50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)、1%TritonX-100、20%グリセロール、1mM EGTA溶液と混合し、時々撹拌しながら氷上で60分間放置した。粗膜画分の約90%の活性が可溶化された。 2.酵素の精製:可溶化された粗酵素液を、0.1%TritonX-100、20%グリセロールを含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で平衡化したDEAE-セルロースカラム(1.8X 10cm)を用いてイオン交換クロマトグラフィーを行うと酵素はカラムに吸着し、NaClの濃度勾配で一つのピークとして溶出された。しかしながら、酵素の比活性は可溶化酵素液と比べて低下しており酵素の失活が起きてしまう。アフィゲルブルーカラムを用いたアフィニティークロマトグラフィーならびにNiキレートカラムを用いたクロマトグラフィーも試みたが良好な結果は得られなかった。
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