研究概要 |
組換えyieldinに対するポリクローナル精製抗体を用た免疫蛍光組織染色により,ササゲ幼茎におけるyieldinの組織内分布を調べた.Yieldinの強いシグナルは,上胚軸と下胚軸のフックという未伸長域において観察され,いずれも表皮と皮層の細胞壁部分に局在していた.伸長域では内皮近くの皮層のyieldinシグナルが消失していたが,表皮とその直下の皮層の細胞壁には強いシグナルが観察された.成熟域ではyieldinシグナルはほとんど消失し,表皮部分に弱いシグナルが残る程度であった.この結果は,yieldinが細胞壁の臨界降伏張力を調節することにより胚軸の伸長生長の調節に寄与するというこれまでの考えを組織細胞学レベルでも証明したものといえる. 子葉に多量にある抗yieldin抗体と反応するタンパク質(CYLP)の精製に成功し,熱処理グリセリン処理胚軸により検定したところ,このCYLPはyieldin活性を持つことが判明した. CYLPのcDNAをクローニングし塩基配列を決定したところ,CYLPはキチナーゼ類似タンパク質であるものの,yieldinとは全く別のタンパク質であることが判明した.現在のところCYLPの生理機能については全く不明である.
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