研究概要 |
1.前年度までにクローニングされた5種類のクラミドモナスリン酸トランスポーターホモログ(CrPTA1,2および3,CrPTB1および2)の酵母のリン酸トランスポータ欠失変異株による機能相補実験をおこなった。CrPTA1およびCrPPTA3は、酵母の変異株のリン酸輸送能を部分的に相補した。 2.新たに公開されたクラミドモナスゲノムのデータベースを利用し、新たにPTAおよびPTBタイプのリン酸トランスポーターを各一つずつクローニングした(CrPTA4およびCrPTB3と命名)。 3.クラミドモナスの比重がリン酸取り込みによって変化することを利用し、THI10遺伝子によるタギングで作製した、およそ100万の独立な変異株より、リン酸欠乏順化能変異株の網羅的なスクリーニングを行なった。その結果、様々なリン酸欠乏ストレス応答に変異を持つ変異株を、これまでに16株得た。 4.上記で得られた変異株に対し、以前に得られたリン酸欠R順化調節遺伝子PSR1による機能相補実験をおこなった。その結果、16株のうち12株で相補が起こらず、これらの変異株ではPSR1遺伝子とは異なる、未知の調節遺伝子に変異があることが推定された。 5.得られた変異株のジェノミックサザン解析の結果、殆どの変異株でTHI10遺伝子によるタグが入っていることを確認した。 6.得られた変異株のうちのいくつかについて、7種類のリン酸トランスポーター遺伝子およびホスファターゼ遺伝子のリン酸欠乏による発現調節がどのように変化しているかをリアルタイムPCR法により調べた。 7.PSR1遺伝子以外に変異を持つことが確認された変異株のうち2株(psr3,psr6)について古典遺伝学的解析を行い、これらが核遺伝子に変異を持つことを確認した。また、psr1変異株との交配による四分子解析により、両変異株の変異遺伝子の遺伝子座がPSR1と強く連鎖していることを確認した。
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