低pHによる根毛形成におけるエチレンとオーキシンの役割を解析した結果、低pHはオーキシンを介しエチレン合成を誘導し根毛形成を誘導するだけでなく、オーキシンは別経路でも根毛形成を誘導しており、両者の存在が根毛形成に必須であることが明らかとなった。また、低pH処理によりエチレン感受性が上昇することも明らかとなった。(新井等、H12日本植物学会大会・静岡)。この現象においては光が必要であるが、根毛伸長誘導に必要な青色光照射によりエチレンの生成量が上昇することも認められた(井上等、H12東北大学遺生研シンポジウム、仙台)。低pHにより誘導される根毛形成部位は、低pH処理開始時根端から1mm付近の表皮に限られていることが判っていたが、オーキシン・エチレン・ACC処理による根毛形成誘導部位も同じ部位に限られており、根毛形成部位を決定している要因は、ホルモン合成あるいは移動部位の局在に有るのではなく、ホルモン感受以降にあることが判った。エチレン合成を律速しているACC合成酵素遺伝子に関しては、現在2種類のクローン化に成功しており、もう数種クローン化できそうである。エチレン受容体遺伝子に関しては4種のクローン化が行えた。これら遺伝子のアミノ酸配列を調べると、シロイヌナズナのエチレン受容体の内ERS2を除く4種とそれぞれ高い相同性を示すことが明らかとなった。現在、これら遺伝子の発現に対する低pHおよびオーキシンの影響を解析中である。
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