研究概要 |
レタスでは低pH処理により根毛形成が誘導される。この際、オーキシン並びにエチレンが関与していたので、エチレン合成酵素遺伝子、エチレン受容体遺伝子の発現を通してエチレンの関与を調べた。 レタスよりエチレン受容体遺伝子4種(LsETR1,LsERS1-3)とACC合成酵素遺伝子2種(LsACS1-2)が単離できた。低pH処理によるこれら遺伝子の発現を調べると、LsETR2の発現量が低pHで低かった。ACS1は処理開始30分-2時間でpH6の2倍、ACS2は処理後30分にpH6の3倍と一過的に発現量が上昇した。これらの結果から、低pH処理によりACC合成酵素遺伝子の発現が増加することが判り、発現時期から根毛原基形成誘導にはACS2が根毛伸長にはACS1が関与する可能性が考えられた(2001年日本植物学会大会)。根毛伸長に必要な青色光照射によりACS1の発現量は上昇するが、ACS2の発現量は変化しなかった。ACCおよびIAA処理によりACS1の発現量は上昇したがACS2の発現量は変化しなかった。これらの結果から、根毛伸長を誘導するエチレンの合成にはACS1遺伝子産物が関与していると考えられた。 低pH処理により根毛形成に先立って、根表皮細胞中の微小管配列が軸に垂直な状態からランダムな状態に変化するが、この変化はACCに因っても誘導され、エチレン効果の一環として微小管配向のランダム化が起こることが明らかとなった。 根毛形成は低pH処理時後3-7時間目に根端から1.5-2mmの表皮のみで起こる。反応局在性の原因は、加齢細胞でのホルモン応答性の消失にあることが明らかとなった。現在、受容体遺伝子の発現が根端から2mmまでの若い表皮細胞のみに限られているか、並びにACC合成酵素遺伝子が表皮で発現しているのか、より内側の細胞で発現しているのか、in situハイブリダイゼイションで確認中です。
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