研究概要 |
1 紅藻チアニジウムの細胞膜プロトンポンプ遺伝子を導入したシロイヌナズナ形質転換の生理的特性 (どれだけ耐酸性を獲得できたか)の検討 残念ながらシロイヌナズナに植物体形成に至るまでの耐酸性を付与することができなかった。考えられうる手段で、耐酸性の検討を行ったが、発芽時におけるほどの大きな変化が、植物体全般で見出すことができなかった。得られた形質転換体が、成長過程において高率にプロトンポンプを発現していないことが、チアニジウムプロトンポンプ特異的ポリクロナール抗体を用いた解析により明らかとなったことからも支持される。 2DNAチップを用いた酸性環境下で転写促進される遺伝子の探索 DNAマイクロアレイの実験に先立ち、シアノバクテリアの酸性条件下でのRNA量の変化を指標とした条件検討を始めた。 (1)Synechocystis sp.PCC6803の酸耐性の検討 Synechocystis sp.PCC6803をpH3-8で培養し,培養時間4時間まで経時的に細胞を回収し、viabilityの指標としてのtotalRNA量を測定したところ、pH3,4では30分間で既にRNA量の低下がみられた。一方、pH5では少なくとも4時間までは急激な低下は見られなかった (2)DNAマイクロアレイによる解析 まず早期に応答する遺伝子群をスクリーニングする事を目的にpH5、30分培養した細胞と、通常pH8で同時間培養したものをDNAチップを用いて解析した結果、その結果、低pH処理により、2.5倍以上に上昇した27遺伝子、1/4以下になった28遺伝子を同定することができた。さらに、これらの主な遺伝子の発現量の相違をリアルタイムPCRにより確認した。
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