研究概要 |
本研究は、脊索動物門頭索動物亜門ナメクジウオの脳-下垂体系が存在するのかどうか、存在するとしたら脊椎動物の機能タンパク質に相当するどのようなリガンドや受容体がナメクジウオにはあるのかを、明らかにすることが目標である。本年度は物質的な手がかりを得ることが目的であった。平成12年度に得られた遺伝子は、Insulin like growth factor, Insulin like protein, Ferritin, Amyloidなどで、データベースへの登録を完了した。脊椎動物の脳に存在するものが得られたが、下垂体ホルモンと相同なタンパク質は得られなかった。そこで、理化学研究所の阿形清和先生、倉谷滋先生との共同研究により、神経管のcDNAのESTを行うことになった。ナメクジウオの神経管のみを採取可能とするまでに半年かかつたため、現在は1万クローンの解析が終わったところであり、本研究終了後も継続して解析に取り掛かることになる。また、成体のin situハイブリダイゼーションの確立に難航しており、切片上での実験がようやく可能となった段階であり、実際の成果は終了後となった。現在得られた重要な遺伝子には、Parathyroid hormone, RFamid, calcitonin, TGE, EGE, IGFなど今後の解析が待たれる。また、ヒト、マウスの脳、神経系で得られているcDNAと相同な遺伝子が多数得られ、哺乳類で脳、神経系の1機能解析にナメクジウオが重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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