研究概要 |
脊椎動物の身体を支える中軸骨格である脊柱がいかに形づくられていくかは、非常に興味あるテーマである。艀化後すぐにニワトリの松果体を除去すると,脊柱形成に異常が生じ,側弯が生じる。この実験モデルは、個体全体として細胞あるいは組織同士がどのような情報交換をして,正しい形(脊柱)を作りあげるのか,脊柱形成過程を時間・空間レベルで調べることができる優れたモデルである。我々が最近見いだした肉用品種(ブロイラー)の系は,松果体除去後わずか2週間で100%の個体に脊柱側弯が生じる。そこで本年度は松果体除去による脊柱側弯変形の発生原因を探るために,1)急激な体重増加がもたらす座屈の可能性と,2)脊柱変形が生じる前に椎骨の前後方向において成長差が生じている可能性を骨化度を指標として調べた。 松果体除去後ニワトリを3群に分け,餌に寒天を混ぜることにより,50%体重群,25%体重群を作成した。その結果100%体重群では2週令で平均50度の脊柱変形度を示したのに対して,50%体重群では38度に,また25%体重群では13度にまで減少した。また,脊柱が曲がり始める前の4日令に椎骨を採取し,椎骨の前後の成分における骨化度を組織学的手法を用いて比較したところ,前方部分には両群で差がなかったのに対して,後方部分では松果体除去群の方が対照群に比べ有意に骨化が進んでいることが明らかとなった。これらの結果は脊椎の前後成分における成長の不均衡と,急激な荷重による座屈現象が脊柱変形発生要因である可能性を示すものである。
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