研究課題/領域番号 |
12640651
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
峰雪 芳宣 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30219703)
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研究分担者 |
唐原 一郎 富山大学, 理学部, 助手 (60283058)
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キーワード | 分裂準備帯 / 微小管 / 高圧凍結 / 被覆小胞 / Coated pit / タマネギ / 超高圧電子顕微鏡 / トモグラフィー |
研究概要 |
植物の細胞分裂面の位置は微小管が帯状に配向してできる分裂準備帯によって決定される。分裂準備帯は分裂前に消失するが、終期に分裂面は分裂準備帯のあった位置で確実に挿入されるため、分裂準備帯存在時に何らかの形で分裂面に関する位置情報が蓄積されると考えられている。どのような形で分裂準備帯に位置情報が蓄積されるのかを解明するためには、分裂準備帯にどのような種類の小胞が、どのくらいの頻度で存在しているか明らかにする必要がある。昨年、超高圧電子顕微鏡を使用し、2軸トモグラフィー法を用いて3次元の立体画像を得、分裂準備帯中に存在する小胞は、クラスリン被覆小胞と小胞の内容物がクラスリン被覆小胞より電子密度が高く、被覆の模様がはっきりしない濃小胞(dense vesicle)の二つに区別できることが分かった。前者はエンドサイトーシスに関与していると考えられるが、後者の小胞は全く別のものか、それともクラスリン被覆小胞の崩壊過程のものか分からなかった。そこで、本年度は、これらの小胞のより詳しい解析を行ったところ、クラスリン被覆小胞の直径はほぼ均一なのに対し、濃小胞の方は大きさが均一でないこと、また、その分布はクラスリン被覆小胞より内側まで存在することが分かった。試料の調整の仕方によっては、濃小胞の被覆がクラスリン被覆小胞の被覆が一部こわれかけている状態とも思われるものもあることから、濃小胞がクラスリン被覆小胞の崩壊過程の段階のものである可能性は考えられる。この点は今後さらに検討が必要であるが、分裂準備帯にクラスリン被覆小胞がたくさん存在することは、ここでエンドサイトーシスが活発に行われていることを示唆する。これらの観察を元に、エンドサイトーシスと分裂準備帯における位置情報蓄積機構との関係に関するモデルについて検討した。
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