コオロギ(Gryllus bimaculatus)の初期胚を様々な光条件下で培養し、この胚が孵化する時刻を調べた。その結果、明暗周期下では明期の初期に孵化が起こることを明らかにした。また、この現象は恒暗条件下で初期胚を培養した場合でも起こることを発見した。これらのことから、コオロギ胚に孵化をコントロールする概日時計が存在することを立証した。さらに、コオロギ胚の概日時計は明暗周期への同調機構を保持していることを明らかにした。加えて、この概日時計は胚発生中期に形成され、機能を開始することと、母体由来の因子が時計機能に対して影響を及ぼす可能性が高いことを示唆した。以前の報告から、概日時計の構造形成や機能発現の制御因子及び母体由来の概日時計機能調節因子の1つがメラトニンではないかと推測した。 プラナリア(Dugesia japonica)の神経系にセロトニンが局在していることと、そのセロトニン含量は概日リズムを示すことを明らかにした。 マウス卵母細胞をメラトニンを含む培養液で培養した後、体外受精を行うと、受精率と卵割速度を上昇させることを明らかにした。以前、私達はメラトニンが卵巣で合成されていることを発見した。これらの報告と他のグループによる報告から、卵巣で合成されたメラトニンは卵胞液中に放出され、卵胞液に蓄積したメラトニンが卵に作用した結果、受精や卵割が促進するという仮説を立てた。 ヒト卵胞液中のノルアドレナリン濃度は血中濃度よりも高いことを明らかにした。加えて、卵胞液中のノルアドレナリンは血中から能動的に取込まれた可能性が高いことを示した。
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