イモリ再生網膜での外来遺伝子の発現

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12640661
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 久冨 修 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60231544)
• 研究分担者: 徳永 史生 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80025452)
• キーワード: 視覚 / EST / 再生 / イモリ / 遺伝子組換え / 遺伝子導入 / 発現

研究概要

本年度は、以下のような研究を行うことにより、外来遺伝子の網膜細胞における非特異的発現系の作成、視細胞特異的発現のための発現調節領域の解析を行った。
1.再生網膜細胞での非特異的発現
まず、CMVプロモーターにGFP遺伝子をつないだ組み換えプラスミドを成体イモリの眼球内にリポフェクション法により導入した。3日後に網膜組織切片を免疫組織化学的に観察した結果、抗GFP抗血清の反応性が認められた。しかし、発現量は僅かであることが予想されたため、プロモーターやベクターの検討を行っている。
2.再生過程の網膜に発現する遺伝子の網羅的解析
以下のような2種類のcDNAライブラリーを作製した:(1)イモリ成体の網膜に由来する網膜cDNAライブラリー(正常網膜cDNAライブラリー)と、(2)網膜除去手術後、18または19日後の再生過程にあるイモリ網膜(再生網膜)に由来するcDNAライブラリー(再生網膜cDNAライブラリー)。再生過程の網膜細胞がどのような性質を持つかを調べるために、再生網膜ライブラリーから無作為に112クローンを単離し、塩基配列の解析を行った。その結果、約38%がハウスキーピング遺伝子であり、細胞の増殖・分化もしくは遺伝子の転写調節に関与すると考えられる遺伝子が15%存在していた。また、ORFが存在しているが、これまでに報告されている遺伝子と相同性のないものは18%であった。これらの結果から、作製した再生網膜cDNAライブラリーのEST解析が、再生過程の網膜細胞を理解する上で有効であると考えられた。

研究成果

• [文献書誌] Taniguchi, Y.: "Pinopsin expressed in retinal photoreceptors of a diurnal gecko"FEBS Letters. 496・2/3. 69-74 (2001)
• [文献書誌] Yoshikawa, T.: "Immunohistochemical localization of opsins and alpha-subunit of transducins in the pineal complex and deep brain of the Japanese grass lizard, Takydromus tachydromoides"Zoological Science. 18・3. 325-330 (2001)
• [文献書誌] Imamoto, Y.: "Roles of Amino Acid Residues near the Chromophore of Photoactive Yellow Protein"Biochemistry. 40・15. 4679-4685 (2001)
• [文献書誌] Takahashi, Y.: "Distribution of blue-sensitive photoreceptors in amphibian retinas"FEBS Letters. 501・2/3. 151-155 (2001)
• [文献書誌] Kobayashi, Y.: "Identification of phosducins expressed in teleost retinas"FEBS Letters. 502・3. 117-121 (2001)
• [文献書誌] 久冨 修: "視細胞分化における視物質の転写調節"Molecular Medicine. 39巻別冊. 19-27 (2002)
• [文献書誌] Honkawa, H.: "Two kinds of guanylate cyclase activating proteins in medaka retina"Interdisciplinary Information Science. (印刷中).
• [文献書誌] Sakakibara, S.: "Opsin expression in intact and regenerating newt retinas"Molecular Brain Research. (印刷中).