研究概要 |
これまで、夏型ホルモン活性物質の部分精製にSepadex G-50カラムを使用し、活性物質の分子量を4,500と推定してきた。今回、Superose-12カラムの導入によって、精製過程における活性の回収率が約20%向上したが、その活性物質の分子量が12,000である可能性がでてきた。しかし、Superose-12カラムの導入と同時に活性物質の抽出・部分精製方法が改良されており、活性分子が2量体を形成している可能性が残されている。 現在、約20,000個のカイコガ成虫の脳-食道下神経節複合体を集め、精製の準備をしているが、生物検定に供する十分なキタテハの短日蛹がない(使用できる季節が限定される)ために、精製の中途で実験が留まっている。 アゲハチョウでは,蛹の休眠と季節型の発現が密接に結びついて光周調節されている。夏型成虫の羽化には、蛹の初期に脳から夏型ホルモンが分泌されることが必要であり、冷蔵によって休眠が覚醒した休眠蛹に夏型ホルモン活性物質を投与し、弱化した成虫の翅のパターンによって、夏型ホルモン活性の定量が可能になった。アゲハチョウの休眠蛹は冷蔵庫内での保存が可能であり、これまで夏型ホルモン活性の定量が不可能であった冬期や春期にも活性の定量が可能となった。
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