本研究の初年度である平成12年度には、浮遊性Anabaena属の種に関して記録がほとんどない西日本を中心にサンプリングを行った。 滋賀県山東郡の三島池、鳥取県鳥取市湖山池、水尻池でAnabaena spiroidesに最も近いと思われる藻が採集された。天然の材料でアキネート、異質細胞、栄養細胞などの形と大きさを詳しく調べることができたので、Anabaena spiroidesの形態学的特長が明らかになる。これらの藻は分離・培養を行って分子解析に備えてある。 沖縄本島では琉球大学名誉教授の香村眞徳博士の案内で首里のダム、千原池、辺野喜ダム、安波ダム、倉敷ダム、福地ダムなどでサンプリングを行ったが、辺野喜ダムでMicrocystisの発生が見られたのみでその他の浮遊性藍藻の種は見られなかった。現地で明らかになったことであるが、沖縄のダムを管理する事務所でダムのプランクトンを調査・記録していて、いくつかのダムではAnabaenaが発生することがわかった。香村博士を通じてこれらの資料を取り寄せ、ダム湖とサンプリングの時期を考慮して調査を行なう。
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