研究概要 |
1.Anabaena spiroides類似群の収集 一昨年・昨年に引き続きAnabaena spiroides類似群の収集のため、北海道(阿寒湖・釧路湿原湖沼群・網走湖など)・本州(諏訪・琵琶湖・大阪ため池群など)、四国(香川ため池群など)など全国各地から水試料を採取し、形態観察と分離培養を行った。 これにより、本年度62株の培養株を新規に確立し、計89株が現在維持培養されている。 2.形態観察と新分類群の記載 フィールドからの試料の形態観察および培養株の形態観察・計測により、Anabaena circinalisとされてきた分類群が3分類群に分けられることが明らかになった(Niiyama & Watanabe, Algae 2002で口頭発表)。阿寒湖からの分類群については、本年度の採集により、精密な形態観察の実施および株の確立が出来たため、新種記載を行った(Watanabe 2003)。 3.16SrDNAの分析のための予備実験 今回、目的とする分子解析のためには多数の株を分析する必要があるが、AnabaenaはMicrocystisに比べて非常に収量が少なく、また無菌化も困難である。そのため、PCRにあたって京都大学の宮下英明氏の開発した藍藻類を特異的に増殖する混合リバースプライマーとPLG1.1を用いた所、良好な結果が得られた。また、収量が極めて少ない株からもPCRを行うことが出来た。 しかしながらPLG1.1では、ITS領域の大半を読むことが出来ないため、27fを用いる事が出来ないかどうか現在検討中である。その検討が済み次第、培養株のシーケンスを来年度行いたい。
|