研究概要 |
1999年の論文(Akazawa et al,1999)で、発表した数々のネアンデルタール特徴所見に加えて、デデリエ2号人骨頭蓋は次のような特徴を持つことが分かった。 ラムダ縫合骨(最大径11.7mm)が右側に認められた。側頭鱗の長さは47.4mm、高さは28.4mmであり、長幅示数は60.0である。外耳道のすぐ上に、3×5mmの凹みが見られ、おそらく、suprameatal depressionである。これは、デデリエ1号頭蓋にも認められる。下顎窩および関節結節が発達する。乳様突起は、幅が12.7mm、高さが13.1mmである。mastoid protuberance(Santa Luca,1978),もしくは、anterior mastoid tubercleは認められない。左側に残る内耳孔の形は丸い。後頭骨の最大幅は114mmである。後頭隆起の下縁、すなわち、上項線は、カーブを描いて外側に走る。前頭骨の弧長は99mm、弦長は81.5mmであり、示数は82.3である。これは、前頭骨のふくらみが強いことを現している。側頭線は前頭骨で強く認められる。右側に眼窩上切痕、左に眼窩上孔が見られる。デデリエ1号、Rock de MarsalやPech del'Aze、それに解剖学的現代人のSkhul1と比べてみると、ネアンデルタール小児の中でも、頭蓋変異があることが推察できる。 歯の表面を走査型電子顕微鏡により精査したが、年齢の推定にはいたらなかった。
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