研究概要 |
本研究は日本人の頭蓋の諸形質についてこれまで明らかになっていない内部構造の変化を調べるものである。今後、時代差を明らかにしてゆくためには現代人のデータと、計測制度計測法などを確立しておく必要がある。従って今年度は今後の研究を続けるに当たっての基礎となるデータの集積を行った。以下、本年度の課題遂行状況を列記する。 1.東京大学総合研究博物館所蔵の現代人頭蓋骨男性36例について、上下顎骨を含む部分のCT撮影を行った。撮影は東芝XLeadおよび付属のワーク・ステーションRea-time Imaging Viewer Pegasus Viewerである。 2.撮影後の3次元構築像に対し、計測を行ったが、その精度について検討した。 3.上顎洞のサイズについて計測した。 4.上顎洞と上顎歯根尖との距離を測った。大臼歯部は平均して3ミリから4ミリであったが小臼歯以前ではこの値が大きい。最小値は第2大臼歯近心頬側根の2.7ミリであった。 5.上下顎歯の側方への傾きと下顎の側方変位の関係を探った。その結果、下顎変位により位置の変更を生じた大臼歯は咬合関係を補償するように角度を変えていることがわかった。 これらに関連する発表は次の通りである。 野木隆久・金澤英作:CTによる上顎洞の形態計測と歯根尖との関係 日大口腔科学27巻 印刷中 2001 T.Masumoto,K.Kasai et al : Relationships among facial type,buccolingual molar inclination,and cortical bone thickness of the mandible.
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