研究課題/領域番号 |
12650004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 敏夫 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 助手 (90170513)
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研究分担者 |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
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キーワード | GaN / InGaN / 量子ドット / 電子構造 / 強結合法 / ピエゾ効果 / シュタルク効果 / 重なり積分 |
研究概要 |
本年度は、GaN障壁層中に埋め込まれた六角柱型のIn_<0.2>Ga_<0.8>N量子ドットの電子構造をsp^3基底の強結合法を用いて理論計算した。In_<0.2>Ga_<0.8>N不規則混晶中のIn原子の分布は乱数により定め、ドットの歪分布の計算にはValence-Force-Field法を用いた。また、ピエゾ分極効果による電荷分布・ポテンシャル分布・電界分布の計算には有限差分法を用いた。ポテンシャル分布を強結合ハミルトニアンの対角成分(原子軌道エネルギー)に取り込んで、電子準位と波動関数を求めた。固有値計算には並列化Arnoldi法を用いている。 ドットの寸法としては、すでに実験で成長が可能となっている直径86.4Å・高さ20.8Åを想定した。ピエゾ分極の計算により、ドットには内部ピエゾ電界が誘起されており、電界は基板面に垂直な主成分と、弱い水平成分からなることが明らかになった。ピエゾ電界の強さはドットの中心で最大となり、最大値F_<center>=2.51MV/cmとなる。基底電子準位と基底正孔準位間のエネルギーギャップE_gは、無電界下では2.710eVだが、電界下では2.502eVとなり、電界により0.208eV減少する。これは、ドット中の量子閉じ込めシュタルク効果に起因する。 このとき、基底電子状態の波動関数はドットの上底面に押し上げられ、基底正孔状態はドットの下底面に押し下げられ、結果として波動関数の重なりはかなり小さくなる(重なり積分の自乗=2.47x10^<-2>)。同時に、両波動関数共に、混晶中の原子配列の不規則性を反映した、原子レベルでのゆらぎを示している。 現在さらに、ピラミッド型の形状の量子ドットについても同様の計算を進めている。
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