研究概要 |
1.現有設備の改良 現有の振動試料型磁力計(VSM)測定システムについて、低温での安定した温度制御を目指し、新たな液体ヘリウム用ステンレスクライオスタットを設計、特注し、ヘリウム吹き出し口およびヒーター部分の改良を行った。 2.Ni-系微粒子について Ni(OH)_2単層ナノ微粒子については、高磁場での磁化測定の結果を踏まえて解析し、10^7erg/ccのオーダーの強い異方性を持つことを確認した。さらにイジングモデルの分子場近似等を導入し、このクラスターが強いイジング性を持つこと、交換積分やクラスターサイズが温度変化すると仮定すると、磁化曲線が理論的に再現できることなどを明らかにした。 3.新しい微粒子の作成 Ni(OH)_2ナノ微粒子に加え、新たに鉄原子を含むナノ微粒子の作成を試みた。X線回折、化学分析の結果より、やはり直径が2〜30nmの鉄の酸化物微粒子、γ-Fe_2O_3,α-Fe_2O_3が生成していることを確認した。しかも、熱処理の条件によってはγ相からα相へと転移していき、その過程の焼成温度1023Kにおいて、ナノサイズの微粒子には非常に珍しく、保磁力H_cが室温で観測された。これは、2相の酸化物の相互作用により発生すると思われ、次世代の磁気記録媒体としての期待が持てる。 4.研究発表等 平成12年7月 大阪大学分子熱力学研究センターにて講演 平成12年9月 OPG国際集会にて発表(オーストリア・グラーツ) 平成12年12月 MRS-Jシンポジウム「クラスターの孤立系と凝縮系」にて発表 平成13年1月 理研シンポジウム「ナノ粒子科学」参加 平成13年3月 日本物理学会第56回年次会にて発表予定
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