研究概要 |
(1)MOS p-MOSおよびn-MOSの試料の寸法は面積L×W=250μm×400μm=10^5μm^2,T_<ox>=18nmである.試料をメタルのカンチレバーに貼り付け,これに曲げ応力を与えて張力と圧縮応力を加えた.容量の測定にはC-Vアナライザ,1MHzを使用した. n-MOSでは正の電圧を印加した時の最小容量がp-MOSでは負の電圧を印加したときの最大容量が張力により増大し,圧縮力により減少することがわかった.また,応力によりC-V特性の傾斜の移動部分の変化はなく,平坦部分のみ平行移動するだけなので,応力によって界面準位と酸化膜固定電荷は変化しないということがいえる. 平坦部分のキャパシタンスの変化は,酸化膜の寸法変化,誘電率の変化および空乏層の幅の変化などが考えられる.誘電率の応力効果および寸法変化は測定結果を説明できない.実験結果は状態密度有効質量とバンドエッジの変化を通じて真性キャリア濃度が変化し,空乏層の幅が変化を受けるものと思われる. (2)FeRAM 測定素子は,35mm×12.5mmでMOS構造上の全面に下部電極となる白金を付着させ,その上に強誘電体のPZT(Pb(Zr,Ti)O_3)がゾル・ゲル法で厚さ220nm成膜され,さらにいくつかの上部電極の白金が付着している. ソーヤ・タワ回路にてヒステリシス曲線を観測したことと,ジルコンチタン酸鉛の比誘電率が容量測定からε_s=556であることから強誘電体メモリFeRAMであることを確認した. C-V特性から0V付近での急激な変化が確認できた.これによって分極が電界の方向に向きはじめることがわかった.張力,圧縮応力共に大きくなるにつれてキャパシタンスが微小ではあるが減少していて,強弾性体でないことを示した.
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