耐プラズマ性、高熱伝導性を有するメチレン基含有シリカ膜へ含有されるメチレン基の量を向上させるためにゾルゲル法を用いて予めメチレン基を膜中に含むSOGを合成することに成功した。この膜ではk=2.6がえられた。さらに低誘電率化を実現するため沸点の低い材料を膜中に含ませ、ポーラス化する事を検討した。熱脱離種の選択としてヨウ素、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコールプロピルエーテル(PPG)等を検討して、ヨウ素では電気適特性が悪く使用できないことがわかった。ジメチルスホキシドは今回合成したSOG中への含有量があがらず、空孔率が向上しないことがわかった。最終的にはPPGが最も良いことがわかった。 テトライシシアネートシランとトリメチルアミンで堆積できるOHフリーの低温CVDSiO2膜にビスジメチルアミノジフェニルシランを用いて含有させたフェニル基を熱脱離させて形成するポーラスシリカ膜について熱脱離温度の再検討を行い450℃で処理することで、C-V測定と素子完成後のアニールを繰り返して、アニール温度400℃でえられた比誘電率のk=2.8の値と矛盾していた空孔率の値が約40%と向上し理論的に予測される値となった。最適化した条件の試料の熱脱離前後で光電子分光スペクトルにどのような変化が見られるかを測定した。測定に当たり、試料表面を中性化するために用いられるフラッドガンの照射条件を行った。通常用いられる自然界に存在する炭素ピークによるチャージアップ補正を用いることが出来ないため、酸素のピークをもとにシフト量を評価し、この値をシリコン及び炭素に適用して予測される値が問題ないことを確かめた。熱脱離前には287eV付近のフェニル基に起因するピークが見られたが熱脱離後ではほとんど確認されなくなっている。TICS流量を増やすことで膜中に含まれるフェニル基の量が増していることも確認された。
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