比誘電率を効率的に下げるために、SOG法を用いて有機基含有ポーラスシリカ膜を作製する方法について検討した。出発原料として、ピスジトリエトキシシリルメタン[BTM]とビストリエトキシシルエタン[BTE]とし、これから合成した膜にいかにポアを形成するかを検討し、その結果、合成したSOGと反応しないこと、高い沸点を有することの2点から絞込み、超臨界乾燥で実績のあるジメチルスルホキシド[DMSO]と多孔質バルクの作製において実績のあるメチルペンタジオール[MPD]を候補とした。BTMとの組み合わせでは均一な膜が得られず、、BTEとMPDのときのみ均一な膜が得られた。 FTIR測定により、初期の膜中にMPDが含まれており、450℃の真空アニールによりMPDが完全に脱離できることを確認した。この結果は、X線光電子分光法により膜中に含まれるCとSiの比が同アニールで1まで下がり、化学量論的組成比になることが確認された。この結果はオージェ電子分光の結果とも一致した。また、450℃真空アニール後の電気的特性の測定より比誘電率が1.9であることと10^<14>Ωcmの抵抗率を示すことを確認した。X線反射率測定をもちい、その臨界角の温度依存性から膜密度が真空アニールにより低下し、450℃後には1.3以下まで下がることを確認した。さらにGIXA法により膜構造を求めたところ、表面に薄いCの酸化した層を仮定することにより理論曲線と測定結果が良く一致することを確かめた。 さらに、熱的およぴプラズマ耐性のあるCF結合を含む膜についても検討しビストリクロロシリルアセチレンをもちいて初期的知見を得た。
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