| 研究概要 |
本年度は、三次元近接場光学ベクトル問題のシミュレーションコードを使って三次元近接場光学顕微鏡のシミュレーションを行った.昨年、体積積分方程式(Lippman-Shwinger方程式)にIteration法(Generalized Minimum Residual Method)を組み合わせることにより,近接場光学の大規模問題(未知数十万以上)を小さな計算機記憶容量(1GB以内)で,高速(数10時間)に解くことができるコードを開発した.このコードを使って誘電体基板上におかれた約1/12波長の大きさを持つ誘電体物体を誘電体球(プローブ)で走査した時の全散乱電力のプローブ位置依存性、すなわち出力画像を求め,その偏波依存性、解像力特性、プローブ球サイズ依存性、物理的意味、を明らかにした。また、三次元誘電体プローブを解析するため、三次元境界積分方程式を導波モード分離型方程式に拡張し、そのコードを作成した。さらに、金属コーチングプローブを用いた二次元近接場顕微鏡の精密シミュレーションを行った。現在、三次元金属開口プローブによる近接場顕微鏡のシミュレーションを実行している。今後は、コードの改良によりシミュレーション精度を上げること、計算速度の向上をめざしたい。
こうした、研究結果は,Optical Review誌,Journal of the Optical Society of America誌に論文発表し、また、淡路島で開かれた『近接場光学研究グループ第4回トピカルミーティング』、電子情報通信学会電磁界理論研究会、および、電子情報通信学会総合全国大会シンポジウムで発表した.
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