研究概要 |
近接場ナノ光学における表面プラズモンポラリトンの働きについて調べた.光波長領域において金属は複素誘電率を持つ分散性プラズマとして取り扱わねばならない.この問題はFTTD法では非常に面倒であるが,本研究で採用した積分方程式法では通常の誘電体と殆ど同様に取り扱うことができる.本研究で開発したコードを利用し,厚みのある金属スクリーンに開けた開口の近接場光分布の大規模シミュレーションをしたところ、これまで見出されていなかった開口近接場の局在増強現象を見出した.すなわち,微小スポットサイズを持つにもかかわらず,従来の開口形状に比べ約1000倍以上のスループットを持つ亜鈴型開口形状を発見した. 現在,この亜鈴型金属開口における近接場の局在増強の解明に取り組んでいる.様々なパラメータを変えてシミュレーションを行った結果,この現象が金属開口側面を伝播する表面プラズモンポラリトンが原因であることを突き止めた.しかし,まだ完全な物理的理解までは進んでいない.このシミュレーション結果は米国ロチェスター大学で開催され国際会議(2002近接場とその関連技術:The7^<th> International Conference on Near-Field Optics and Related Techniques NFO7)において口頭発表し,論文として学術雑誌Journal of Microscopy (2003)に掲載予定である.さらに上記結果を踏まえて、金属の表面プラズモンを利用すれば、ナノスケールの光導波回路を作成できることを見出した。このシミュレーション結果はApplied Physics Letters誌(2003)に論文として発表された。
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