本研究の目的は、高度に精密制御可能な熱プラズマプロセス技術を開発することである。ここでは、特に種々のプロセス条件に対して非常に安定なプロセス装置の開発を行うとともに、その装置の有効性を気体及び粉末材料を用いたプロセスで実証した。更に、プロセス進行中のプラズマ反応領域全体に亘るプラズマパラメータ及び注入材料粒子のパラメータが測定可能な診断装置の開発を行った。得られた結果を以下に示す。 (1)高性能のプロセシング装置の開発 強制伸張型プラズマジェット発生器を基礎としたプロセシング装置を開発した。特にこのプロセシング装置の基礎的な諸特性を調べ、広い圧力範囲で気体及び粉末材料注入に影響受けることなく安定で、また通常型に比較して20%以上も高い熱効率を保有することを明らかにした。 (2)CCDカメラとCT法を用いた非軸対称プラズマジェット診断法の確立 1波長透過光学干渉フィルターを付設したモノクロCCDカメラとCT法を用いることにより、非軸対称プラズマジェットの3次元温度分布の測定が可能となること、及び、1/30秒の時間分解能ではあるがジェット温度の時間変化を測定可能なことを示した。 (3)3CCDカメラを用いたプラズマ温度および材料粒子の温度速度測定法の確立 2波長透過光学干渉フィルターと3CCDカメラを用いることにより、目的とする2波長の2次元分布が短時間で計測可能であること、及びプラズマジェットの3次元温度が基準温度測定なしに計測可能であること、さらに注入された材料粒子の温度、速度が反応領域全体にわたって計測可能なことを明らかにした。 (4)気体および粉末材料を用いた本プロセシング装置の有効性の立証 混合粉末からの熱電材料(β"-アルミナ)の高速合成の実現、およびメタン、水素混合ガスからの大面積ダイヤモンド膜の高速合成が開発したプロセシング装置で可能なことを示し、装置の有効性を明らかにした。
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