本年度は、X線レーザーの空間コヒーレンス測定と軟X線干渉系の設計・製作を行なった。 (1)先年度に整備した高精度複スリット、透過型回折格子と軟X線CCDカメラからなる分光コヒーレンス計測系を用いて、我々のX線レーザー光源から発生するX線ビームの空間コヒーレンスの観測を行なった。X線レーザー光源として、ダブルターゲット配置でのX線出力を用いた。高精度複スリットに25μmおよび50μmのスリット間隔を有した複スリットについて、X線ビームのYoungの干渉実験を遂行したところ、15.47nmの強いX線レーザースペクトル線について明瞭な干渉縞が観測された。それに対し、X線増幅が見られないスペクトル線については干渉縞が現れないこともわかった。 (2)実験で得られた干渉縞の解析の為に、部分的コヒーレント光の照明に基づく干渉パターンの理論的計算を実行した。これにより、発生するX線レーザービームの空間コヒーレンス、光源の大きさなどが推定できるようになった。 (3)コヒーレントX線の応用光学系の一つである軟X線干渉系を検討した。透過回折格子をビームスプリッタとして用いた軟X線干渉計を組み込んだ干渉系チェンバーの設計・製作をおこなった。可視光で0次の光軸調整をした上で、X線光源に接続し干渉縞の観測を試みる予定である。
|